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向精神薬の減らし方 -離脱症状か原疾患の症状か-

投稿日:2010/01/08

減薬をうまくすることで、かなりの患者が救われるはずですが、


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暫定的と言いながら、24時間の精神医療ホットラインを開始して1年半以上になる。

数百件の新規電話相談の中からで見えてきたことは、原疾患からくる症状よりも処方や減薬による症状のほうが目立っているということである。


不適切な処方であっても、自律神経症状や不安、幻覚・妄想などは消退するか和らぐ(だが、ADL・QOLの低下が付きまとう)。



しかし、そのような処方で偶然に落ち着いたとしても、それでは満足いかないのが精神科医の多く(自覚しているかどうかは別)であろう。

・症状が和らいでも、消えたわけではない。
・EPS(錐体外路症状)がでてきた。

これらに対して、上乗せに次ぐ上乗せの処方。



気がつけば、粉だらけの飴食い競争のように大量の薬。





※薬剤効果の相加的な発想が間違っていることにいい加減気づくべきだ。



受診当初の患者を思い出せばよくわかる。
当時より悪くなっているか、または別の病態を示すようになっているケースも多くあるだろう。
後者のケースをよく観察すれば、ほとんどが薬剤性精神病や類似の副作用等々であることに気づく。

しかし、残念ながら患者を広い視野で観察している医療従事者は多いとは言えず、目の前の患者ばかり見ているから、悪化していることに気づかない。




では、どうすればいいのかという意見もある。

「減薬すれば、やはり症状が出現したりする」

というのだ。




減薬により出現した症状は慎重に見極める必要がある。


・原疾患による症状が減薬により現れたのか
・減薬による離脱症状か


処方の減らし方が急である場合は、後者であることが多い。



しかし、その多くは精神症状と判断し、元の処方に戻される。
たちが悪いのは、元の処方から更に薬を追加するケースである。
これは、完全に判断ミスである。

減薬→症状悪化→原疾患の症状と判断→増薬

このスパイラルに陥ると取り返しがつかない。
こういうケースの多くは、数年間治療しているが、薬が徐々に増えたり、いろいろな薬に代わっているのに、社会復帰できていないなどのケースであったりする。




対応方法としては、

徐々に減薬→減薬のブレをムードスタビライザー(気分安定薬)や比較的依存が少なく、かつシャープに効く中間型の抗不安薬(タンドスピロンはお勧めできない)と漢方薬で凌ぐ方法をとる。




多くは、多剤併用療法で長年薬漬けになっているケースであるから、いくらかはその苦痛に耐えてもらうことは避けられないが、半年後にはかなり落ち着き、ここでようやく原疾患に向き合うことができるようになる。

統合失調症と誤診されている患者のなかには、うまく減薬すればADLやQOLがかなり回復するケースもあるだろう。

そもそも、発達障害圏やAC(アダルトチルドレン)、PTSD、解離性障害などに大量の薬剤を処方しても効果がないどころか、短期的には過沈静、長期では薬剤性精神病に仕上げてしまい、ADLもQOLもなにもなくなってしまう。

そのような状況では、患者は判断力や認知機能が鈍っているにきまっているのだが、現場では教育や指導と称して感情的に関わろうとする医師や看護師がいまだ生存しているように聞く。思うようにいかなければ、薬の増量という単一の選択肢のみという頭の固さ。




減薬は、1錠単位や半錠ずつでもペースが早い。

具体的には、4分の1錠ずつ減らす方法である。
減薬の過程で分量が少なくなってきた場合は特にそうすべきだろう。





もちろん、向精神薬にも多くの種類があり、1錠当たりのmg数も違うので、ケースごとに慎重に吟味する必要がある。

また、減薬・増薬については、個人の判断では絶対に行わないでいただきたいということもここで付け加えておきたい。























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